産業保健スタッフ向けメディア「保健指導リソースガイド」にて、iCARE代表の山田が先日出版をした『産業医はじめの一歩 〜「働く人・企業」のニーズをつかむ!基本実務の考え方と現場で困らない対応〜』の出版記念記事前編が掲載されました。
Q.「産業医のスタンスを体系化」について詳しく教えて下さい。
誰を産業医に選任しても、企業の健康管理は一定のレベルで構築される必要があります。
もし誰が産業医になるかで、企業の健康管理がコロコロ変わってしまったらどうなるか。産業医ではなくて臨床医で例えてみると分かりやすいでしょう。誰が医師として診てくれるかで、どんな病気やどの治療をするかがコロコロ変わってしまうなんて今の医学ではありえないことですよね。
でも、残念ながら産業医においてはそんなありえない状況がよく起こってしまっています。その理由は、産業医学に求められる対応が社会情勢によって次々と変化していってるため。
産業医学はまだまだ新しい分野です。高度経済成長期の日本では労働災害による死亡者が5000名を超えてきたので、労働者を守るために労働安全衛生法が1972年に制定されたことからはじまりました。
当初は結核による感染症対策からはじまって、有害業務への対応。サラリーマンの働き方が度を越して長時間になることで脳心臓疾患が増えていき、不景気になるとメンタルヘルスに不調をきたす労働者が目につくようになってきました。
こうして社会情勢のニーズが高い課題について、産業医の仕事は個別対応してしまいがちです。メンタルヘルスは苦手だから面談は避けたいという産業医がいたり、あるいは精神科出身の産業医を専任したいという人事がいたりすることは、産業医学が体系化されていない証拠だと考えます。
そんな状況を改善したくて産業医のスタンスを体系化して一冊にまとめました。
本文より抜粋