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SaaS企業におけるデザイン組織のあり方

青木隆之
2021/12/06

SaaS企業におけるデザイン組織のあり方

この記事はiCARE Dev Advent Calender 2021 6日目です。

こんにちわ、iCARE開発部デザインチームマネージャーのアオキタカユキです。
弊社でも人数が100名を超えていよいよ組織体として新たな形に進化することが求められてきております。直近でいうと部門長を外部からお招きしてより責任の所在を明確にして事業推進を加速しております。そんな中私が所属する開発部デザインチームも組織の一部門として、個々のメンバーそれぞれの強みを生かして最大限のパフォーマンスを発揮する必要があると考えております。
そこで改めてSaaS企業としてのデザインとはなにか?デザイン組織のあり方を考えてみたいと思います。

SaaS企業におけるデザインとはなにか?

かっこいいウェブサイトをつくる。興味をそそるブログのアイキャッチをつくる。最新のUIデザインを作る。確かにそれはデザインの大事な側面です。しかし本質ではありません。SaaS企業におけるデザインとは「問題解決」をする手段の一つだと思います。いかにユーザーが違和感なく操作をおこなえるか、採用対象者が事前にメンバーや社内の様子を過不足なく魅力的に伝えることができるか、ユーザーに対していかに訴求できる広告をクリエイティブできるかどうか?対象者にわかりやすく情報を伝えるのが良いデザインの条件です。

見た目の装飾的な部分はデザインの一つの側面です。情報が伝わらない事による「わからない」「理解しにくい」「使えない」といった問題を解決するのがSaaS企業におけるデザインの役割です。

プロダクトプロセスにどうデザインは関わるのか?

ここでいうプロダクトプロセスとはマーケテイングから始まり開発から販売、そしてカスタマーサクセスに至るまでの一連のプロセスを指します。カスタマーサクセスによってユーザーの意見を取りいれ、市場の動向を予測し新たな機能を開発する。プロセスは一方通行ではなくサイクル的にまわります。

以前はデザインはそのプロセスの1イベントとして存在しており独立していました。独立することは決して悪いことではありません。最低限のデザインを最短でアウトプットできるのでスピードがあがります。ことプロダクトの初期段階ではスピードを求められますのでこの形は最適だと言えます。しかし、プロダクトが成熟するにつれ、組織が拡大するにつれだんだんとこの形では無理が生じます。組織が拡大すると部門がわかれ責任が分散されます。それに加えて上記で書いた部門間での効率化が進み「サイクル化」され持続可能な組織形態になります。

この段階になると部門独自のクリエティブが発生します。人事は採用のためにより訴求力の強い求人をつくり、マーケティング部は差別化を打ち出した広告をつくり、セールスは見込み客により刺さる提案資料をつくり、開発部は複雑化した顧客ニーズを満たすためのわかりやすいUIを制作します。このようなクリエイティブを作り出すには1イベントとしてデザインが独立していては成長した組織の要望には答えられません。全てのプロセスにデザインが取り込まれないといけないのです。独立した形ではなく全てのプロセスに関わってこそ、サイクル的に回っているプロダクトプロセス内で最大の効果を発揮します。

SaaS企業におけるデザイン組織のあり方

ユーザーは点ではなく線で体験する

よくユーザーの動きを把握するのにカスタマージャーニーを取り入れます。ユーザーがプロダクトを知る前から購入、利用を通じてカスタマーサクセスする一連の流れを書き出したマップ。これからわかるようにユーザーは点でプロダクトと接触するのではなく、線で接触します。点でそれぞれ違うデザインチームがクリエイティブをしているとユーザーは戸惑いがうまれます。

同じ企業に存在していてもデザインチームが違えばその文化も価値観も当然違います。そこから生まれたクリエイティブは似て非なるもの。まるで古い宇宙映画のように隣人になりすましたエイリアンのようにどこかチグハグで不気味です。その不気味さをなくすには一つチームで取り組んだほうがユーザーにとって良いクリエイティブができるのではないでしょうか?

最後に

プロダクトとは誰のものでしょうか?誰の体験を向上させるためにプロダクトを提供しているのでしょうか?答えは明白でそれはすべて「ユーザー」のためです。ユーザーがちゃんとプロダクトの存在を知ることができ、支払った利用料以上の機能で効率化でき、納得するカスタマーサクセスしていただく。

冒頭で書いたとおりデザインとは「問題解決」の手段です。それぞれのイベントでユーザーの問題を解決できるようにクリエイティブを提供することで事業全体の価値を高めることができると思います。