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プロジェクトマネージャーは不要?【ユニコーン企業のひみつ:発売日レビュー】

2021/04/26

はじめに

初めまして。
株式会社iCAREでバックエンドエンジニアをしているyotuba_engです!

今回は本日2021年4月26日に出版された
ユニコーン企業のひみつ
について発売日レビューを行いたいと思います!

実は自分自身、発売日レビューというものを行うのも書籍のレビューを行うのも初めてなのですが、今回この書籍の訳者の角谷さんのツイートに応募させて頂き、この様な機会を頂きました。ありがとうございます。(実は先週には本が弊社に届いていたので発売日前に読んでいたのですが・・・)

発売日前に本を頂けるなんて嬉しいということで即撮った写真

どのような本か

下記はオライリーHPから引用

本書はSpotifyでアジャイルコーチやエンジニアの経験を持つ著者が
ユニコーン企業のソフトウェアづくりと働き方を解説します。
ミッションによってチームに目的を持たせ、スクワッドに権限を与え、信頼する。
カンパニーベットを通じて大規模な取り組みを調整する。
このような働き方とそれを実現するための文化のあり方を解説し、
複数チームが連携しながら質の高いプロダクトを早くリリースし、
迅速に技術革新を行うための方法を学びます。

ということでこの本は著者のJonathan Rasmussonが2014年から2017年ごろにSpotifyという企業に所属していた時の経験を元に書かれています。(2018年に上場しているため現在ではユニコーン企業ではない)
なので、ユニコーン企業と言ってもほぼSpotifyで行っていたこと(本にも書かれているが、AppleやAmazonなどそれぞれに特徴がある)と、現在のSpotifyモデルは変化していったり、その後さまざまな批判もあったそうです。

上記は訳者様の後書きから引用しておりますので、最初にそちらを読んだ方がいいと思います。

また自分は楽器をやっていたり音楽が好きで、Spotify自体に興味があり、
Spotify 新しいコンテンツ王国の誕生という2020年に出た本も読んでおりますが、こちらも非常に面白かったのでぜひ読んでみてください。

内容について

タイトルを若干釣り気味にしましたが、実際にこの本を読むとすぐにこの内容が書かれています。

まずこの本では、スタートアップ企業とエンタープライズ企業はどこが違うのかと最初に述べられています。

スタートアップ企業や、ユニコーン企業で取り組まれていること、それは、とにかく顧客第一、プロダクト駆動で開発が行われているということです。プロジェクト駆動ではないと強調されています。
既存の常識では、プロジェクト駆動で開発が行われ、予測可能か・計画通りであるかということが重要視されます。
しかし、世の中の常識を変えてしまうような、素晴らしいプロダクトを生み出す開発にプロジェクトは不要・旧来のマネジメントは不要だと、この本では書かれています。

ということで、ユニコーン企業ではプロジェクトマネージャーやスクラムマスターは見かけず、プロダクトマネージャーとデータサイエンティストが重要な役割を果たすと書いてあります

ただ、そういった役割も重要であり
Spotifyでも最初はスクラムマスターが
大事な役割を果たしたとも書いてもあるので
この辺りは読解がかなり難しい部分ですので
ぜひ本を手に取って読んで
それぞれで思考を働かせてみてください

この本では、デリバリーに貢献できるメンバーだけでチームを構成せよ、と結論付けられています。

印象に残った言葉から

中盤の章からはSpotifyが具体的にどのように上記を達成しているかが書かれていきます。

この本で大切なのは、こういう風にチーム組織を作ればどこでもうまくいくといったことではなく、人をマネジメントしたり動かしたりする上でSpotifyのような企業はこう考えている、ということを学ぶことだと思います

具体的にはスクワッドやトライブ・チャプター・ギルドといった耳なれない言葉が色々と飛び込んでくるのですが、あまりブログで全内容に触れても読む面白さがなくなってしまいますので、ぜひ本を読んで頂ければと思います。

このレビューでは考え方などについて印象に残った言葉に触れていって終わりにしたいと思います。

本書で伝えたいことは二つだけだ。権限を与えること。信頼すること。

人は自分の好きなことに取り組んでいるときにこそ最高の仕事をする

ユニコーン企業をそうたらしめているのは、メンバーやチームに与えられている、権限や信頼の大きさだと述べています。メンバーが必要だと思ったらすぐに経費を使うことができたり、決定はトップダウンでなく、チームで行うことなどですね(北欧人の性格もあるらしくこれもなるほどと思った)

そしてそれにより言い訳(納期は決められたものだった、とか、このアーキテクチャは決められたものだとか)を取り除くことで当事者意識と責任感のレベルを上げる事ができます。それにより、人は楽しく働き、生産性が高く最高の仕事をするそうです。

このメンバーへ信頼と権限を与えるというのは、自分が非常に気に入っている本
強いチームはオフィスを捨てる: 37シグナルズが考える「働き方革命」
でも何度も書かれていたことであります。
Railsの作者であるDHHさんの本でもありますので、こちらも興味ある方は読んでみてください。

話が脱線してしまいましたが、権限や信頼を与えることは、この本でも何度も触れられている言葉で恐らく一番に伝えたい事だと思いましたので印象に残りました。
簡単な言葉の様ですが、実際にこれをやろうと思うと、非常に難しい事ですし、なかなか出来ないですよね。

学びはメンテナンスの中にある

この言葉も印象に残りました。
作って終わりではないという、プロダクト開発では当たり前のようであって、端的に重要なことを表している言葉ですね。

スマートな人たちを雇って何をすべきかを指示してどうする。スマートな人たちを雇ってるんだ。彼らが我々に何をすべきかを教えてくれる。

Steve Jobsの発言だそうです。
こちらもなるほどと思いました。
チームに時間の余裕と探索範囲の余地を与えて物事を自分達で考えられるようにすること、の大事さを表している言葉ですね。
関連する面白い取り組みとして、チーム名をチームに決めてもらう!
というのもありました。そういった細かな取り組みも自発性を促すのかもしれないです。

終わりに

全内容に触れてもただのネタバレになってしまいますので、もう少し詳細にまとめていた下書きからだいぶ内容を精査して、この本で印象に残ったことを自分の考察を織り交ぜて、触れさせて頂きました。

スクラム開発をしたことがない、という方でも、スクラムは当たり前にしているけど、その先の議論をしたい、という方でも、具体的な行動と抽象的な思考が織り交ぜられて書かれていますので、面白いと思います!
(自分は非常に楽しく読ませて頂き学びも非常に多かったですし、Spotifyという企業がさらに好きになりました)

また、この本はこうすれば良いというマニュアルというよりかは、Spotifyはこんな感じ、皆はどう思う? と言った本ですので、読んだ方で考察を深めてみるのも面白いかなと思いました。

ぜひ読んだ方一緒に考察しましょう!

今回このような機会を頂きました、角谷様、関係者の皆様、ありがとうございました!