iCARE の若手エンジニアにおすすめの本を紹介するシリーズ その1. マネジメント【エッセンシャル版】 – P・F・ドラッカー
今回はぼくのキャリアがうまくいっている理由の1/3くらいを占めているであろう本を紹介します。この本を20台前半で読んでいなかったらかなり違う人生を歩んでいたんじゃないかな
どんな本か
経営書のほとんどが、もっぱらマネジメントの仕事を扱っている。それらはマネジメントを内から見ている。これに対し、本書はマネジメントの使命、目的、役割から入る。マネジメントを外から見、その課題にいかなる次元があり、それぞれの次元において何が要求されるかを見る。
マネジメントというとマネージャーがチームをどう動かすか、といった話を想像するかもしれませんが、この本では違います。むしろ社会人としてどう振る舞うべきなのかを社会、組織、個人の視点から棚卸しするような内容となっています
現代社会を組織社会と定義付け、組織というものの社会における役割、組織がどういう力学で動いているのか、その中で人が活動するということはどういう事なのか、そういった本当にエッセンシャルな部分が密度濃く多角的に分析されています
おすすめする理由
企業は社会の機関であり、その目的は社会にある。企業の目的の定義は一つしかない。それは、顧客を創造することである。
エンジニアはマネジメントが嫌いです。自分がするのも嫌いだし、ともすれば「組織はダメ」だったり「組織はわかってくれない」といった思考に陥りがちです
ぼく自身も政治や組織は苦手なんですが、だからこそこういう本を読んで自分の進みたい道と組織の進みたい道を一致させる必要があります。読んでみるとわかると思いますが、組織と個人ってまったく対立するものではないんですよね。個人も企業もその他の組織もそれぞれ社会を構成する要素というのに気づくことで会社との付き合い方が変わってくると思います
これはマネジメントのやり方を教えてくれる HOW-TO 本ではありません。組織=マネジメントとは何かを紐解くマニュアルのようなものです。苦手だからこそ理解して、自分のキャリアに活かしていって欲しいと思います
読み方
正直、内容は難しいです
しかし、エッセンシャル版というだけあってすべての章に名言が散りばめられているので、通して読むとどこかで心に残るフレーズが見つかるはずです。最初はそれだけでも読む価値があります
具体的にまずは「第一章 企業の成果」「第三章 仕事と人間」「第四章 社会的責任」あたりを読んで、組織というものがどういった性質を持つのか再確認してみて下さい。目から鱗がぼろぼろ落ちると思います
第五章以降はより具体的な組織論・マネジメント論になります。マネージャーとはどういうものか知るための第五章はどんな立場の人にもおすすめです。また、「第六章 マネジメントの技法」は個人の目標管理などでも活動できる内容です
最後に「第八章 トップマネジメント」もぜひ読んでみてください。よく言われる「上の立場で物事を考えよう」の具体的な考え方を掴むことができます
最後に
紹介するために久しぶりに通して読みましたが、基礎の基礎の基礎という内容で感激しました
デザイン思考・サービスデザインなどの価値創造の手法や、ティール組織・アジャイルなどの組織論など、この社会が「どうあるべきか」という理論についてはネットや書店にたくさんあふれています。それらに対してこの本はまるまる一冊を使って「なぜそうあるべきなのか」という背骨を通してくれる本です
社会人としてどんなステージにいても学びがある本だと思うので、ぜひ読んでみてください