3クリックルールの迷信と情報の匂い。IA(情報設計)重要だよなお話し 〜前編〜 | Dev Driven 開発・デザインチーム 3クリックルールの迷信と情報の匂い。IA(情報設計)重要だよなお話し 〜前編〜 | 働くひとと組織の健康を創る iCARE

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3クリックルールの迷信と情報の匂い。IA(情報設計)重要だよなお話し 〜前編〜

2018/02/26

 

あけましておめでとうございます!
(もう2月も終わりますね…)

 

UXS,CDの江口です。
(ブログ書くの何ヶ月ぶりだろ?)

 

さて、なぜに本日、久々にブログ書き始めたかというと
実は、社内でちょこっと「3クリック以内で全ての情報に到達できる、使いやすいUI/UXを実現してね。」って言われたのがきっかけです(笑)

 

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クリエイティブをやられている方にはこの「3クリック以内にリーチ」は迷信である事はもう当たり前の話だとおもいますが。

ご存じない方、もしくは「なんとなく知っているけれど、何故?」って方に向けて参考になればと

あまり難しくない様に軽〜くお話ししますね。
だいたい以下のことについて、二回にわたってお話しします。

 

  1. クリック数より道のり
  2. 情報の匂いをさせよう
  3. インフォメーションアーキテクチャが大切

 

クリック数より到達までの道のりが大切

最初に書きます。「3クリックルール」は"The・迷信"です。

世の中で「3クリックが大切」と言われ始めた背景は「ユーザーがwebページから離脱しないようにするには、、、3クリックくらいの範囲内じゃね?」程度に提唱された仮説だったと思われます。(私は明確な根拠となる検証データや推察された記事を見た事ないです。データで検討した経緯あるのかな?)

正しく情報を示せば3クリック以上でも離脱せず進みます。
「3クリックルール」は"The・迷信"です。

必死になって「3クリック」にこだわって設計しても、ユーザビリティにもSEOにも全く寄与してくれません。
なんども書きますが「3クリックルール」は"The・迷信"です。
あなたが思うほどユーザーは怠惰ではなく、適切に案内すれば離脱せずついてきてくれます(笑)

まずは、本意である「ユーザーが離脱しない様にしよう。」に着目して、遷移(クリック)の回数にとらわれずに設計しましょう。
ユーザーのニーズはズバリ「目的に到達」です。なので、UI/UXを設計するときの基本思想は「到達への手助け」です。
決して「到達距離の短縮」が最適解ではない(絞り込みなど、短縮の手助けはもちろんしますよ)のです。
遷移(クリック)回数にとらわれるのではなく、ユーザーにとって適切な道のりを整理整頓する事が、とても大切になるのです。目的地までの道筋を、奇をてらわず整然と整備してあげれば、必ずユーザーは自らの意思で辿り着きます。

 

動物の狩と同じで、ユーザーは「匂い」で情報を探索する

では、ここからは「道のりの整理整頓とは?」について書きますね。

設計のポイントは「匂い」です。
動物が狩をするときに、狩を成功させる要素の一つとして、獲物を見つける為の「匂い」は重要な要素のひとつです。

実はこれ、人間が情報を探しているときにも、この「匂い」をたどっている。という研究があります。

 

ここでいう匂いとは、「情報の匂い」のことです。
「情報の匂い」とは、動物が食料を探索する行動に見立て、獲物を探す時に「匂い」を頼りに探すように、人間も「情報の匂い」を頼りに情報へ到達するといったことを、比喩的に表現した言葉です。

ユーザーが検索結果やカテゴリーをたどる時など、自分の欲しい情報なのかを判断する時に「ここ見てみよう!(匂い強い)」「この結果じゃない(匂い弱い)。違う語句で検索してみよう」といった具合です。

あなたも、「情報の匂い」を感じて動いたことがあるはず。

皆さんも実際の生活で、この「情報の匂い」を感じて動いたことがあるはずです。
たとえば、ホテルのチェックイン。

チェックインした際に「お客様のお部屋は7階の12号室です」という言葉とともに「712」と記載された電子カードキーを受け取ったとします。
早速部屋に入ろうと、エレベーターに乗りこみ、7階ボタンを押して7階に移動し、7階のエレベーターホールに降り立つ。

エレベーターホールでは、目の前にある、こんな案内プレートを目にします。

「←701~720 | 721~740→」

そこであなたは、エレベーターホールを左に進みます。
今度は突き当たりの分かれ道で、またこのような案内プレートを目にします。

「←701~710 | 711~720→」

次にあなたは、右に曲がり廊下を進み、左右の扉に貼られた部屋番号を見ると、左の扉が「711」、右の扉が「720」と貼られているプレートを目にします。
さらに廊下を進みながら左の部屋を中心に眺めながら進み、「712」と記載された扉のカードキーリーダーにカードキーをかざす。そして、めでたく普段とは違う大きくふかふかの(もしくは小さく硬い)ベッドに飛び込みます。

ね?これが「情報の匂い」です。

ちょっとピンときていない方多いかな?匂いだけを抽出すると

  1. 「お客様のお部屋は7階の12号室です」という案内
  2. 「712」と記載された電子カードキー
  3. エレベータの7階ボタン
  4. エレベーターホールの「←701~720 | 721~740→」という案内プレート
  5. 分かれ道の「←701~710 | 711~720→」という案内プレート
  6. 廊下左右の部屋番号「711」「720」
  7. 「712」と書かれた部屋の扉
  8. カードキーリーダー(らしきもの)

この8つが「情報の匂い」です。

あなたはこの8つの匂いをクンクンしながら目的の部屋(ベッド)へ到達したのです。

情報の匂いは、匂いを辿りながら次々に正解が重なることで、「あっちかな?」から「こっちぽい」「こっちだ!」と、どんどん確実性が高くなっていきます。

 

距離よりも匂いの強さ!強い匂いをさせ続けよう。IA大事!

この例にある8つの「情報の匂い」は、近づくにつれ相当強い匂いをさせていたはずです。(最後の8に関しては、部屋番号を保証するものではないのにも関わらず、7のおかげで部屋番号に確信を持てているので[712号室のドアのカードキーリーダー]と書かれてなくても鍵をかざしています。)

しかし、この「8つの情報の匂い」これをサイトに置き換えるとしたら、ほぼそのままクリック(遷移)数に置き換わることになります。

 

とある研究で、「3クリック」にこだわって、1ページあたりの情報量が多く煩雑になっているECページがありました。そのページの情報を整理(IA)して「直感的」にしたところ、商品到達まで1クリック増えてしまいました。

迷信を元に仮説をたてれば「3クリック」が「4クリック」に増えたのだから、「売上は下がる」ことが予想されます。

ところが、売上は700%伸びたという結果が出たそうです。

この結果から分かることは、適切な情報構造の整理(IA)によって「情報の匂い」を適切に届けることができた結果。ユーザーは道に迷うことなく目的地へたどり着け、「目的の商品購入が簡単(楽)になった」と言う風に分析できます。

つまりは「遷移(クリック)回数よりも、道順をわかりやすく整理して情報の匂いを強くさせることが重要だよ。」ということがわかります。

では、どうすれば良いか?それはズバリ

「適切なIAをして、目的到達まで強い(ユーザーの期待を裏切らない)匂いをさせ続ける!」

です。

「ん?IAなぬ?」な方手をあげてください。
なるほど、、、ほぼ全員ですね(笑)

「IA」とは「インフォメーションアーキテクチャ(情報設計)」のことです。

この「IAって何?」これは、「情報を適切に設計すること」です。
例えば、ECサイトなどのカテゴリーの分類分け、項目のラベル(名前)の選定、アイコン(ラベルも含)の選定などなど、ユーザーが触れるであろう情報を整理整頓する行為のことを言います。
ここで嘘をついては絶対にいけません。ここで言う嘘とは「〇〇も、買ってほしい。ので、このカテゴリーに入れよう」的な行為のことを言います。正しくない「情報の匂い」はユーザーにとって、とても不快な「ノイズ」になります。このノイズが多い場合、ユーザーはあなたのサイト(製品)が発する「匂いを」信用しなくなり、「2度と訪問(利用)しない」という最悪の結果を招きます。ここには気をつけましょう!

 

例えばシャワーヘッドが入るカテゴリーである階層「バストイレタリー>フロ用品>シャワーヘッド」の中に、「使うかも?」や「一緒に買うから」などの理由で「たわし(風呂掃除で使うだろう)」や「工具(設置の時に必要だから)」などの「シャワーヘッド」ではないものを入れてしまいがちだと思います。

一見、ユーザー導線を減らすために有益に見えますが、これは間違いです。

もちろん「8割のユーザーは工具も同時に買ってるから、その方がユーザーフレンドリーだろう」と言う声があると思います。とてもいい着眼点です。

しかし!それは間違いです。ちゃんと工具のコーナーにしまってください。工具も同時に購入したいユーザーは必ず、適切なカテゴリー(おそらく工具売り場)に自らカテゴリーを辿って向かうか、検索をします。

「関連性」と言う罠には気をつけてください。この罠にかかって違うカテゴリーの商品を並べる行為はマイナスになり得ますが、プラスになることはありません。

同時購入に向けたユーザーに対するサポートの答えは、「(関連する)違うカテゴリーの商品を並べる」のではありません。適切な方法を考えてみましょう。

この場合であれば、以下のような関連リンクを設置する方法はどうでしょうか?

  • 「この商品と一緒に買われている商品はこれ」
  • 「この商品を閲覧したユーザーがよく検索している商品」

このようなリンクを別に設置する方が、商品が並んでいるリストに別カテゴリーの商品が混在するよりも適切と言えます。

ユーザーにとって何が中心の情報で、何が関連する情報なのかを分解して分析し、正しく更生すること。これが「情報設計」です。(かなり乱暴ですが。。。)

 

情報設計の大切さについては、次回にお話したいと思います。

それでは〜